猫の飼い主さんなら、「うちの子、たまに吐くけど元気だから大丈夫かな?」と悩んだことがあるのではないでしょうか。
確かに猫はもともと嘔吐しやすい動物ではありますが、「吐くのが普通」と思い込んで放置してしまうのは、少し注意が必要です。

実は、慢性腎臓病や甲状腺の病気、消化器の炎症やアレルギーなど、さまざまな病気のサインとして嘔吐が現れることもあります。
とくにシニア猫や、もともと体調に波がある子は、早めに様子を見てあげることが大切です。

「猫は吐く動物」って本当?

猫が吐く理由には、生理的な嘔吐と病的な嘔吐があります。

◆ よくある“生理的な嘔吐”
  • 空腹時の嘔吐(朝方に黄色い液を吐く)
  • 毛玉の吐き出し(グルーミングによって飲み込んだ毛を吐き出す)
  • 早食いによる嘔吐(ごはんを急いで飲み込みすぎたとき)

こうした嘔吐は、一時的で元気や食欲もあるようであれば、様子を見ても良いことが多いです。
ただし、頻度が多かったり、いつもと様子が違う場合は、体の中で何かが起きているサインかもしれません。

「様子見でいい嘔吐」と「受診が必要な嘔吐」

以下のような特徴がある場合は、できるだけ早めに動物病院に相談した方が安心です。

状況要注意ポイント
1日に何度も吐く脱水や電解質異常のリスクあり
食欲がない・元気がない内臓疾患・感染症・中毒などの可能性
嘔吐物に血が混じっている胃炎・潰瘍・腫瘍など
食べてもすぐ吐いてしまう胃腸の動きの異常や閉塞の可能性
体重が減ってきている慢性腎臓病・甲状腺機能亢進症などが隠れていることも
突然吐き始めた異物の誤飲、中毒など緊急性の高い原因の可能性

また、「元気があるから大丈夫」と思っていても、慢性的に嘔吐が続いている場合は注意が必要です。
たとえば、食物アレルギーや慢性腸炎、胃の粘膜炎などが原因となっているケースもあります。
とくに週に何度も吐いている場合は、病気のサインを見逃さないようにしましょう。

嘔吐の原因を調べるための検査

猫の嘔吐は、見た目だけでは原因が判断できないことが多いため、身体検査や画像診断、血液検査などが有効です。
以下は、よく行われる検査の例です。

🔎 Step1:まずは基本的な検査で“吐く原因”を探る

  • 便検査
     寄生虫の有無、消化の状態、血便の確認など
  • 血液検査
     肝臓・腎臓・甲状腺・膵臓など、全身の状態を評価
  • レントゲン・超音波検査
     胃や腸の動き、異物の有無、腫瘍や炎症の可能性を画像で確認

まずはこうした検査で、全身状態や消化器の状態に異常がないかを調べていきます。

🔬 Step2:より詳しく調べる検査もある

初期検査で異常が見つからなかったり、症状が長引いている場合には、内視鏡検査など、より専門的な検査が行われることもあります。

内視鏡検査
 口から小型カメラを挿入し、胃や腸の内部を直接観察します。必要に応じて組織を一部採取し、病理検査で炎症や腫瘍の有無を調べます。

このような検査によって、原因不明の慢性嘔吐にも、診断と治療の糸口が見つかることがあります。

食後すぐに吐くのは「吐き癖」ではありません

「フードを食べたあとすぐに吐くのは、うちの子の癖かな?」というご相談もよくありますが、これは“癖”ではなく、何かしら原因があるケースがほとんどです。

たとえば…

  • 食器の高さが合っていない
  • フードの粒が大きすぎる/消化しにくい
  • 一気に食べてしまう
  • 胃腸の動きが弱っている
  • フードが体質に合っていない

など

ちょっとした環境の調整や、フードの変更などで改善することもあります。
気になる場合は、記録をつけたり動画を撮っておくと、診察時に役立つこともあります。

猫は体調の変化を隠す動物です

猫は本能的に「体調が悪いことを隠す」動物です。
そのため、元気に見えていても、実は不調を抱えているというケースも少なくありません。

  • 吐く回数が増えてきた
  • 吐き方が変わった
  • 食欲はあるけど、なんとなく様子が違う

そんな“なんとなくの違和感”こそが、早期発見のきっかけになることもあります。

まとめ

  • 猫の嘔吐には、よくある生理的なものと、病気のサインの両方がある
  • 「吐くけど元気そう」で放置せず、頻度や様子に注目することが大切
  • 食後すぐの嘔吐や慢性的な嘔吐には、食事や体調、消化器の病気が関係していることも
  • 気になることがあれば、早めに専門家に相談することで安心につながる
🐾チェックリスト:受診の目安
  • 吐く回数が明らかに増えてきた
  • 吐いたあとにぐったりする
  • 食欲や元気が明らかに落ちている
  • 吐いたものに血が混じる
  • 嘔吐とともに体重減少が見られる
  • 長期的に(週2〜3回以上)吐いている

猫の嘔吐は身近なようでいて、実は見逃したくないサインが隠れていることも。
「ちょっと気になるな」と思ったときが、見直すチャンスかもしれません。

お散歩中の和三盆ちゃん