猫の健康診断は本当に必要なのでしょうか。
「元気だから大丈夫」と思っていても、猫は体調不良を隠す動物です。
昨年当院で実施した猫の健康診断では、
129頭中78頭(約6割)に、基準値からの何らかの数値変化が確認されました。
その多くは、飼い主さんが気づいていない段階でした。
症状が出てからでは遅いこともあります。
だからこそ、猫の健康診断は“元気な今”に受けることが大切です。
なぜ、たんぽぽの猫の健康診断は少し違うのか
当院は猫専門病院です。
犬と同じ内容ではなく、猫に多い疾患に合わせて健診を設計しています。
特に重視しているのは、
- 慢性腎臓病
- 肥大型心筋症
- 歯周病
いずれも「静かに進む」病気です。
そのため、SDMAやNT-proBNP、歯周病菌検査を組み込んでいます。
猫の健康診断で何を調べるのか?
- CBC(血球検査)
- 血液化学16項目+電解質
- SDMA(腎機能マーカー)
- NT-proBNP(心臓マーカー)
- 歯周病菌検査(アドプリット)
全身状態を把握しながら、
腎臓・心臓・お口(歯周病)
を重点的に確認します。
SDMAでわかる早期腎臓病
慢性腎臓病は猫で非常に多い疾患です。
10歳以上の猫では約3~4割にみられると報告されています。
SDMAは、腎臓検査でよく使われるBUN(尿素窒素)やクレアチニンよりも早期に腎機能の変化を捉えられるとされています。
昨年の健診では、
129頭中6頭(約5%)でSDMA高値
が見つかりました。
早期に気づくことで、
- 食事管理
- サプリメントによるサポート
- 水分管理
- 定期的なモニタリング
といった対策が可能になります。
腎臓病は静かに進行する病気です。
だからこそ、元気なうちの確認が重要です。
NT-proBNPで確認する心臓病リスク
猫の心臓病で最も多いのが肥大型心筋症(HCM)です。
一般集団の猫でも約10〜15%に認められるという報告があり、若い猫でも発症することがあります。
この病気の難しい点は、無症状で進行することがあるという点です。
元気に見えていても心筋の肥厚が進み、
重症例では血栓症などを引き起こすことがあります。
根本的な治療は困難ですが、
- 血栓予防
- 心負荷の軽減
- 定期的なモニタリング
によってリスク管理を行うことができます。
NT-proBNPは、心筋にかかる負荷を反映する血液マーカーです。
聴診で雑音がなくても、
数値として“見えない負担”を確認できます。
元気な今だからこそ、将来のリスクを把握する意味があります。
猫の歯周病はどのくらい多いのか?
昨年秋、20頭で歯周病菌検査を実施したところ、
80%に歯周病菌の増加がみられました。
歯周病はお口だけの問題ではありません。
慢性的な歯ぐきの炎症は、
- 食欲低下
- 体重減少
- 慢性炎症状態
につながることがあります。
さらに、歯周病と慢性腎臓病や心血管疾患との関連を示唆する報告もあり、慢性的な炎症が全身に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
猫は痛みを隠します。
「食べているから大丈夫」ではなく、
炎症を抱えながら生活していることもあるのです。
見えないリスクを“見える化”すること。
それが健診にお口チェックを組み込んだ理由です。
猫の健康診断がおすすめなケース
- 6歳以上
- 1年以上血液検査をしていない
- 最近少し痩せてきた
- 水を飲む量が変わった
- 口臭が気になる
ひとつでも当てはまるなら、猫の健康診断をおすすめします。
まとめ|猫の健康診断は“元気な今”に受けるもの
猫の健康診断は、病気を探すためだけのものではありません。
小さな変化を早期に見つけ、安心を確認するための時間です。
何もなければ、それが一番の安心。
変化があれば、早めに穏やかに対応できます。
春の猫の健康診断キャンペーン
6月30日まで
はじめての方もお気軽にご相談ください。
Webまたはお電話にてご予約を受け付けています。
参考文献
International Renal Interest Society (IRIS): Chronic Kidney Disease in Cats
Hall JA et al. 2014. Serum SDMA concentration as an early marker of renal dysfunction in cats.
Payne JR et al. 2015. Prevalence of cardiomyopathy in apparently healthy cats.
ACVIM Consensus Statement on Feline Cardiomyopathy
Pavlica Z et al. Periodontal disease and systemic health in companion






