病気の概要・原因
伝染性腹膜炎(FIP)といい、FIPウイルスが引き起こす致死性の感染症です。
現在も有効なワクチンは開発されていません。
腸コロナウイルス(FCov)が腸内で突然変異してFIPウイルスとなり、発症すると言われています。
多頭飼育では発生率が上昇すると言われており、ストレスで発症リスクが高まると言われています。
症状
FIPにはウェットタイプ、ドライタイプ、眼・神経タイプがあります。
ウェットタイプは腹水が貯まり、お腹が膨れます。ドライタイプは腹水が貯まりません。
腎臓の腫大や肝障害、黄疸などが現れます。貧血する場合もあります。
また、眼に異常が現れるブドウ膜炎になる場合や、神経症状が現れる場合があります。
診断方法
血液検査、エコー検査、レントゲン検査、腹水のPCR検査などで、総合して判断します。
治療
以前はステロイドで緩和ケアするだけで、死に至る病でした。
現在はGS441524製剤という特効薬があります。
当院では、GS441524という製剤を使用しています。投薬期間は3カ月間で、治療成績は良好で、ウェットタイプでは完全寛解、ドライタイプでもほぼ寛解しています。
ドライライプの一部の子では再発してしまい、再びGS製剤を使用して寛解している子もいます。
GS製剤は現在国内での認可のない薬で、海外から輸入しています。
気を付けたいこと
人に移るの?
FIPウイルスは人に移ることはありません。
同居の猫ちゃんに移るの?
FIPウイルスは猫ちゃんの腸内で突然変異して生じるものなので、食事やトイレなど、生活を一緒にしていても基本的には猫ちゃん同士では移りませんが、血液や腹水を介しては移る可能性があります。